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第十三回座談 おそ松くん「すて子飼います」

Y

選者 S

ふつうの編集者

「すて子」もすごいけど「飼います」もやばい!!

S 赤塚センセイの本質というか湿ったかわいらしい叙情が感じられる作品を持ってきました。おそ松くんの「すて子飼います」です。

K おそ松では、わりと初期の作品ですね。

M 1963年36号(「週刊少年サンデー」)に掲載された作品なので、連載がスタートしてから1年半ぐらい経ったところの作品です。

W チビ太のキャラクターが定着してきた頃。

S ストーリーがとっても良くて、やっぱりセンセイはストーリーテラーだなぁと感じます。セリフとテンポ。普通にスラっと読んでしまうけど非常に洗練されていると思います。

G たしか劇作家の井上ひさしさんがセンセイのセリフ回しを絶賛していました。

K はい、井上ひさしさんとは交流があっていっしょに作品も作っています(『井上ひさし×赤塚不二夫の笑劇場』)。

S センセイの作品には、とくにおそ松なんかでは、落語や童話や寓話を下敷きにしたり原作にした作品もたくさんあるんだけれど、この「すて子飼います」は、雰囲気と物語性がありながらオリジナルってところがいい。

Y 「すて子」って、当時はよくあったのかな?いまでは言葉としても聞かないよね。

G どうなんでしょう。映画やテレビでも母子ものが盛んだったりして、ここにも戦争の影があるわけなんだけど。子どもを育てられずに泣く泣く手放すとか、幼い頃に離れ離れになるとか、お話ではよくあるんだけど……。

Z ここでは、チビ太が自分で自分を売り込んでるところが面白い。

S 確かに!ストーリーに気を取られていましたが、言われてみればすて子って言葉のインパクト!イヌじゃないんだからって、ツッコミたくなる。

G それを言うなら「飼います」だって、イヌじゃないんだぞ、と。

S ほんとよ!ひどい話のはずなのに暗い印象がまるでない。

Y それはまた、絵の力だと思う。

S ほんとにチビ太のキャラクターによるところが大きい。センセイのチビ太への愛を感じます。かわいそうなはずなのに、それより可愛いが勝っちゃう。おそ松に媚びを売る場面の足先までが可愛い!!

G わかったって。