こうしてとうちゃんはゆうれいになった
「とうちゃん風船と共に去りぬ」
「とうちゃん天国よりかえる」
当たらないのに占い師を気取って、家業の八百屋に熱が入らないとうちゃん。それでもア太郎はとうちゃんを助けて親子ふたりで暮らしていました。ある日とうちゃんは、女の子の木にひっかかった風船をとってあげようと木にのぼり、そこから落ちてポックリ死んでしまいました。それは、余りにあっけない死でした。
空き地にポツンとひとり残されたア太郎は、これで天涯孤独になってしまいました。これからいったいどうすればいいのでしょう。ア太郎は、悲しみと不安でいっぱいでした。
天国に旅立ったとうちゃんでしたが、天国の役所の名簿にとうちゃんの名前が載っていなかったので、生き返って地上に戻ることになりました。ア太郎と感動の再会です。ところが……。
地上に戻ったとうちゃんには、すでに帰る身体がありませんでした。こうしてとうちゃんは、ゆうれいとして暮らすことになりましたが、とうちゃんのことが見えるのは、息子のア太郎だけです。
