選者 G
赤塚センセイに「デブ」と呼ばれた今は「ほそ」
赤塚不二夫の闇と虚無が垣間見えるダークサイド作品!?
G だいぶ涼しくなってきましたねー。秋ですなぁ。中秋の名月も近い。
K ふふふ、急に過ごしやすくなりましたね。やっとという感じ。
G さて、きょうはそんな秋にぴったりなくるった作品を持ってきました。「オッチャン」です! びっくりするほど気味が悪い異色作!
K そう、なぜか怖いんですよねー。気持ち悪いんです。
S わたしもそう思うんですけど、なんででしょうね。
Z このキャラクターが怖いのかな? オッチャンとボッチャン。
S オッチャンがおとうさんでボッチャンが息子だろうと思って読みはじめたら、途中でふたりが他人だと描いてあって「マジか!」と思いました(笑)。
K そうそう、わざわざお断りみたいに描かれてましたね。
G 「わしオッチャン おれボッチャン」は、「オッチャン」の連載第1回目の作品なの。だからだいぶ力を入れて描いたと思うんだけど、初見のときには衝撃的だったね。アルコールの影響を受けてる? と思っちゃうほどドラッギーでサイケ。
K 確かに。絵のことで言えば、ペン入れしている人が違うんじゃないかな。だれが担当したかはわからないけど。絵の雰囲気がおかしいんですよ。
M その点では、雑誌初出時に冒頭の何ページかがカラー作品だったのを単行本にするときにモノクロにトレースして描き直しています。それで違和感があるのかもしれません。
K あ、そういうことか。それなら納得。
M 掲載誌は「少年キング」で先生のキングの連載のなかでは一番長く連載した作品になります。単行本で5冊分。
S へー、それはすごい。なかなかの人気作だったんですね。
G しつこいんだけど絵も怖ければ、やってることも怖い。オッチャンとボッチャンが土のなかと水のなかで寝てるってのもだいぶ怖い。のんびりしているように見せかけて全然のんびりしてない(笑)。広がっているのはなんにもない空虚な世界。
K この作品は、傑作といわれる「レッツラゴン」の連載が終わった直後で、シュールな世界を描き切ったというある種の達成感のあとにはじまったんだよね。「オッチャン」では、またあのシュール世界を新しいキャラでやりたかったんじゃないかな? 変わったキャラクターでヘンなマンガを描きたいと。まあ、これはあくまで想像で先生にしかわからないことだけど。
S そうですね、意欲作だったと思います。オッチャンとボッチャンがゴンとおやじのイメージなのかなと思うけど、ここにもベラマッチャやイラ公のように掻き回すというかぶっ壊すマッドなキャラがいたらもっと発展したかも? とか今となっては思います。この連載の第1回目は31ページと普段の先生の作品よりも長いページをもらってスタートしてるんですね。
Y 編集部でも力を入れていた新作だったと思うんだけど、そこ(「少年キング」編集部)には、武居さん(「レッツラゴン」を担当した名物編集者)はいなかった、と。
S わはは。武居さんは出版社も雑誌も違うもんね。
Z キャラクターの顔がきれいなシンメトリーっていうのもゾワゾワする理由のような気がします。
K そうね。目がいっちゃってますもん(笑)。ただ、最初こそ異常な世界観なんだけど、回を重ねるごとにだんだんいつもの赤塚マンガになっていくんですね。
Y そうね。ぼくはモンティ・パイソン(1960〜70年代に活躍したイギリスのコメディグループ)の影響を感じるな。先生はモンティ・パイソンが好きだったの。へんな歩き方とかシュールな感じとか。
G なるほど、そういうことか! ……とはならないな(笑)。やっぱり何度読んでも怖すぎるよ。