赤塚先生お気に入り『おそ松くん』2
「イヤミはひとり風の中」
お菊ちゃんの目が治療をすれば見えるようになるということがわかってから、イヤミの生活は一変しました。いくつもの仕事を掛け持ちし、懸命に働きます。お菊ちゃんの目には、高額の治療費がかかるのです。この娘の目が見えるようになることが、イヤミの最大の望みでした。
働いても働いても、治療費には遠く届きそうにありません。そこへお菊ちゃんの目を治せるオランダ人医師がもうじき帰国してしまうというニュースが。時間がありません。これまで、お菊ちゃんに横恋慕してイヤミの仕事の邪魔をしていた殿様の若チビですが、イヤミにわざと御用金を盗ませて、その治療費にあてさせます。イヤミは、どうにかお金を届けることができました。
牢屋に入ったイヤミは、4年後に出所するとお菊ちゃんを探しますが、その行方は、わかりません。そして、働く気力をなくしてみすぼらしい姿に。一方お菊ちゃんは、目が見えるようになって、茶屋でイヤミを待ちながら元気に働いています。そして、偶然再会するふたり。イヤミの顔を知らないお菊ちゃんは、目の前にいるのが恩人であるイヤミだと気がつきません。
ひとり裸足のまま立ち去っていくイヤミ。その後ろ姿には、男の哀愁が漂います。どこからか、ネコが近づいてきて、寂しいイヤミをなぐさめているようです。このストーリーは、チャップリンの映画『街の灯』をベースにして描かれました。
◎赤塚先生のコメント◎
ラストシーンに力を入れたよ!ひとりで歩くイヤミ、そばに寄ってくるネコ、これを何回もコマを描いて映画のシーンみたいにしたんだ。味を出そうと思ってね。