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のらガキエピソード

ネコのかあちゃんの過去

「かあちゃんお竜の大勝負」

ある日、留守番をしていたのらガキのところに「高ゲタ」と名乗る片方だけ高下駄を履いた一風変わった男が訪ねてきました。ネコのかあちゃんにお客さんが来るのは、初めてのことです。

帰宅したかあちゃんに「高ゲタ」が訪ねてきたことを伝えると、のらガキが今まで見たことがないほどうろたえます。何かひみつがあるようです。「高ゲタ」とは、いったい何者なのでしょう。

かつて、ネコのかあちゃんは、お竜と名乗るバクチ打でした。のらガキといっしょに暮らすためにバクチを止めたいと相談すると「高ゲタ」との勝負に勝つことを条件に親分からお許しが出ました。

ただし、お互いに一番大切なものをカケようという「高ゲタ」は、自分は高下駄をカケるので、お竜にはのらガキをカケろと迫ります。お竜はうろたえますが、ここで後にはひけません。

勝負は、高下駄の裏表を当てるというスタイルで行われる真剣勝負。あたりには、ピーンと緊張感が張りつめ、運命の一瞬がやってきました。「オモテ!」と叫んだお竜の勝ちです。

「高ゲタ」はこの勝負で片方の高下駄を失いました。その高下駄を取り返すために、もう一度お竜と勝負をしようと訪ねてきたのです。勝負を申し出る「高ゲタ」にかあちゃんは、応じません。

が、のらガキを人質に取っていると知ったネコのかあちゃんは、きょうだけむかしのお竜に戻る決心をします。背中の毛をそると、そこからはみごとな刺青が現れました。のらガキを取り戻すために、ネコのかあちゃんは「高ゲタ」との勝負を受けて立つことにしました。

またも、緊張感が高まります。お竜は「ウラッ!」と叫びますが、下駄は表。勝負に負けたと思った瞬間、「高ゲタ」は下駄を脱いで楽になったことに気が付きました。今まで、片方だけ高下駄を履いていたので、歩きにくかったのです。高下駄がいらなくなったので、勝負もなしです。

こうして「高ゲタ」は、お竜の前から姿を消しました。お竜は、安心のあまり自然に涙が流れました。この後お竜は、元のネコのかあちゃんに戻って、のらガキと平和に暮らしていきました。

のらガキが「野良」になった理由 お金じゃ買えないもの ネコのかあちゃんの過去 友情か親孝行か!