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 珍しくきょうは、中山競馬場にスポニチ賞・ステーヤーズステークスを見に行った。以前スポニチに連載をしていたときの担当、ヤマグチくんが貴賓席を招待してくれたんだ。 ボクは、競馬をやったのはこれが3回目くらい。だから全くのシロウト同然で、競馬新聞の予想を見てもチンプンカンプン。それでもなんとかなるだろうって、カンだけを頼りに何レースが買ってみた。結果は…見るも無惨のみごとな惨敗なのだ。一緒に行ったヤマグチくんも、真知子も、フジオプロのヨリコちゃんも、そのほかの友だちも、揃いも揃ってザンパイだったのだ。あーあ、慣れないことはするモンじゃないのだ。
 貴賓席はフリードリンク、フリーフードだったんだけれども、ボクのほろ酔いもこの負けですっかり醒めて、もう、とっとと帰ろうっと。
 この写真は、負けがこんでヨロヨロのボクを支える真知子…ではなくて、タクシーを待っている間、ボクのフトコロ同様、北風がビュービュー吹いてものすごく寒かったので、真知子が風よけになってくれたんだ。ボク赤ん坊みたい。
 帰ってからはヤケになって、みんなでヤキニクを喰いまくったことを付け加えておこう。

日記 2000年 12月 2日(土)を開く

 懐かしい顔がひさしぶりにやってきた。
 ボクのデビューのきっかけをつくってくれた当時「少女クラブ」の編集部にいらした丸山昭さん、通称丸さん。ぼくがギャグ漫画を描く前に美しい少女漫画を描いていたってことをご存知ない方も多いらしいけれど、この丸さんにお世話になって「荒野に夕日がしずむとき」「千本杉の家」「くらやみの天使」「おハナちゃん」「白いかっぽうぎ」なんていう名(?)作を描かせてくれたんだ。石森氏との合作もけっこうやった。「くらやみの天使」(U・マイヤ名義/石森章太郎さん、水野英子さんと赤塚の合作)「ちりぬるを」(いずみあすか名義/石森章太郎さんとの合作)「きえていく星」(前同)なんてのがそう。この人がいなかったら今の赤塚不二夫は、絶対にいないのだ。それほど世話になったボクの大恩人なのだ。
 丸さんがやってきてくれたのは、ボクのトキワ荘時代からの漫画仲間、石森氏(故石ノ森章太郎さん)の記念館のためのVTR撮影のインタビュアーとしてだった。
 「石森氏」っていうのは当時ボクたちの間で流行っていた呼び方で、誰にでも氏をつけて呼ぶんだ。これは、実は手塚先生のマネなんだけれど、…氏って呼ばれると当時はまだハタチそこそこの漫画家のタマゴにもなりきれないボクたちが、一人前に扱われたような気がして、誇らしかったのを覚えているなぁ。だから今も「石ノ森さん」なんて呼ぶのはちょっと慣れないな。
 丸さんとは、もう45年くらい昔の話し…トキワ荘のビンボー話とか、石森氏の話しとか、初恋の話しなんかして、楽しかったなー。
 でも、もういつの間にか石森氏もいなくなってしまった。
 ボクもいつかそっちに行くだろうからそうしたら、またみんな一緒に「トキワ荘の青春」でもやろうじゃないか、もうちょっと待っててくれよ、なぁ石森氏。

「くらやみの天使」

「おハナちゃん」

日記 2000年 12月 4日(月)を開く

 ♪狼さんなんて恐くない、恐くないったら、恐くない
 ♪狼さんなんて恐くない、恐くないったら、恐くない…
 ダンス&歌・不二夫による独演会が、深夜突如としてはじまったのだ!しかもこの美脚を見せるフンドシ姿にもかかわらず、観客は真知子たったひとり。
 ♪狼さんなんて恐くない、恐くないったら、恐くない
 ♪狼さんなんて恐くない、恐くないったら、恐くない…
 これはディズニーのアニメ「三匹のこぶた」の歌にボクのオリジナルのダンスをつけた即興劇だな。
 なんで、こんなコトをやってんだろうなー。
 読者のみなさまは、ボクがベロベロに酔っぱらって、大喜びで踊っていると思うだろ?ブブー!違うの!!これは規定のお酒を飲み干して、お酒が無くなったボクが「もういっぱい頂戴よー。もっと飲ませてよー。」っていうアピールしているところなんだ。歌とダンスで頂戴頂戴作戦だな。真知子は大笑いしながらも、「しっかり踊れ!」と厳しいゾ。どうやらオレのふらつき加減をテストしているみたいなんだ。そんなことは先刻承知の助、軽快に踊るぞ!
 それ!♪狼さんなんて恐くない、恐くないったら、恐くない…
 お酒のためならプライドも美意識も簡単に捨てるこのボクの熱意、真知子には通じたかな? 
結果はこちら↓

結果。

日記 2000年 12月 16日(土)を開く

 手塚賞・赤塚賞授賞式のため、帝国ホテルへ。毎年2回、集英社が新人マンガ家を発掘する目的で主催しているこの賞は、ボクが尊敬する手塚治虫先生と名前を列ねる賞なので、思わず襟を正して出席。ボクは、どちらの賞も審査委員長を勤めているのだけれども、毎年応募してくるマンガのスケールが小粒になっているような気がして、気になって仕方がないんだ。
 ストーリーマンガの手塚賞・ギャグマンガの赤塚賞ってことになっているんだけれど、どちらも似たような絵、似たようなストーリーの作品が多くて…。「自分だけにしか描けないマンガ」っていうものを探して欲しいな。せっかくマンガを描こうっていうんだったらさ。
 なんて、少々エラそうな事を言ってしまった。でも、ボクはマンガのコトになるとかなり真面目なんです。
 授賞式が終わったらパーティ。藤子不二雄(A)ことアビちゃんが来ていた。いつ会っても嬉しいな、少年時代からの仲間ってのはさ。それで、気持ちも話題も少年時代のコトに戻っちゃうから不思議だよー。アビちゃんのお姉さんの松野さんもいらしていた。松野さんは、ボク達がトキワ荘にいた時代から、ずーっとお話になってるの。ごはんを食べさせてもらったり、話しを聞いてもらったり…とっても優しくしてもらったんだよ。
 ぼくにはお姉さんはいないけれど、ホントウのお姉さんみたいに思っているんだ。松野さんもボクのことを出来の悪い弟みたいに思ってくれているみたいで、会う度にボクの身体のことを心配してくれる、ありがたい話だなー。

アビちゃんのお姉さんの松野さん

日記 2000年 12月 18日(月)を開く

 ボクの30年来の友人でもある黒柳徹子さん。彼女の超ご長寿番組「徹子の部屋」の収録があったのだ。原宿にあるスタジオまでタクシーで、社長兼、マネージャー兼、妻兼、監視役である真知子といっしょに行ったのだ。
 この日のために、連日の忘年会にもかかわらずお酒を控えて体調を整えてやってきたのだ。
 徹子さんは、いつ会っても精力的でとってもキレイ。ボクが頭にケガをしたを話したら「まー、それは大変だったわねー」、看護婦ちゃんがどんなに美しいかってコトを話すと「まー、そーなのー?それはいいわねー」、点字の本を出したコトを言えば「ただの酔っぱらいじゃないわねー」と…。やっぱり古くからの友だちってイイもんだな。なんだかテレビの収録っていうよりも、ホントウに徹子さんの部屋に遊びに行ったみたいにリラックスムードで、ボクは大変楽しかったのだ。 
 放映は来年の1月15日の予定です。真面目なボクもたまには見て下さい。

日記 2000年 12月 19日(火)を開く

 夕方から小学館の大忘年会のため、帝国ホテルへ。
 ボクは、意外に思われるかもしらないけれど、こういう大きな会が苦手で、もう10年以上顔を出していなかったんだけれど…。今年は、誘われて何となく気が向いたので行ってみることにしたんだ。
 着いたら…とにかく、ものすごい人なのだ。
 電車のラッシュアワーの様に押し合いへし合いなのだ。あー、ビックリした。そして、あっちで「こんちは」こっちで「やあ!」その間に水割りをグビリ、またまた「どうも、どうも」、こっちでも「久しぶり!」なんてな。
 いやー、いろんな人がそれぞれ、つぎつぎ挨拶するので、何がなんだか分からないのだ。それでも、懐かしい人たちにたっくさん会えたので、嬉しかったのだ。
 そして、その後今日はイベントがもうひとつ。
ジャーン!今日はウチの真知子の誕生日だったのだ!! 友だちが数人でサプライズパーティを企画してくれて、真知子を驚かせたのだ。
 ボクも知らなかったから、真知子と一緒に驚いた。
 わっははは…今日は大忙しでオモシロイ1日だったのだー。
 おやすみー、バタンキュー…

ジャーン!今日はウチの真知子の誕生日だったのだ!!

日記 2000年 12月 21日(木)を開く

 みなさん、メリークリスマスなのだ。
 クリスマスはゆっくりと熱海で…の予定だったんだけれど、今世紀最後に来てオレの出番が増えちゃって、ここにきて大忙しになってしまったのだ。熱海では今頃、ドドドーーン!とクリスマス花火があがっているらしいけれど、ぼくは淋しく自宅にいるのだ。うーむ、残念。残念だけれど仕方がないのだ。
 そして、クリスマスだからって浮かれている訳ではなくて、今日は青森放送(ラジオ)にナマ出演(電話で)したのだ。こんな時も仕事を忘れないオレはエライのだ。
 今年の8月に点字の絵本「よーいどん!」を出版したことは、賢いボクのファンのみなちゃんはご存知だと思いますが、その縁できょうの青森放送のチャリティ番組にちょっと参加させてもらったんだ。「目の不自由な人に音の出る信号機を送ろう」ってことで何年も続いている番組なんだって。番組のパーソナリティは伊奈かっぺいさん。ボクはかっぺいさんには会ったことはないんだけれど、昔から大ファンなんだ。(テープも2本持っている)収録の会場には、目の不自由な人たちもたくさん集まって、かっぺいさんとみなさん、そしてボクのお話は盛り上がったなー。
 距離は離れていても、なんだかあったかい気持ちになったゾ。

日記 2000年 12月 24日(日)を開く

 12月31日おおみそか、かの紅白のウラ番組に出演することになったのだ。出演するのはボクじゃなくてコイツ。そう!イヤミざんす~。
 ホントはナマ出演したかったんだけれども、ほら、ボクは31日は(も!)飲まなくっちゃいけないだろ?お酒をさ。だから今日、テレビのスタッフがドカドカっとやってきて、収録していったのだ。そして、イヤミの出演コーナーの背景ボードも制作することになったので下絵を描いてみたんだけど、どうかな?どんなコトになるのかは、当日までのお楽しみ!
 今世紀最大のギャグ「シェー」を引っさげて、イヤミの活躍はいかがなりますか?…是非、放映をチェックしてください。
 12月31日21時~24時30分、日本テレビ「いけ年こい年世紀越えスペシャル」(電波少年、雷波少年、ウリナリ合同特別番組)。
 今日は、宣伝しちゃったな。

日記 2000年 12月 26日(火)を開く