毎日のように夕方7時頃になると、ひとりの男が大きなダンボールの箱を持って我が家にやってくる。ナニかな~っと思っていると、真知子が3人分用意していた夕ごはんを、当然のように3人で食べて、食べ終わるとソイツはこれまた非常に自然に我が家のオーディオセットの前に腰を落ち着ける。ゆったりとコーヒーを飲みながら、真知子に向かって「マッチャン!これとこれをこうすればつながんだよ。ほらーいい音でしょー!デジタル音はいいでしょ?」と仲良くああでもないこうでもないと、オレの知らない話で盛上がっている。ナンナンだ、コイツは!
この男の正体は、30年来の付き合いとなる近所の電器屋ツツイサウンドの社長筒井準三、栃木県出身の当年とって57歳。
「う~む、またまたツツイになにか買わされたな」なんやかんやと十数年でオレの家の居間はビクターのショールームと化した。そして今度は36インチの高画質対応テレビが入るという。
「ボクちゃんお目々悪いから大きいテレビにしようね」と真知子。でもウチには32インチのテレビ2台とハイビジョンの29インチがあるんだけど…。これはもう古いと真知子は言う。
「スカパーはどこを押すの?」「マッチャン!前のダイレクトテービーの場所と一緒だよー」「ダイレクトテービー?、ああここか、なんだ」と真知子。会話を聞いていた一同は大爆笑。「ツツイさん!真知子社長に変な言葉教えないで下さいよー!ダイレクトテービーでなく、ディレクTV!!」と事務所のタマのキッツーイ一発。
ツツイさんは東京に来て40年近くになるのに、いまだにリッパなトツギ弁をお話しになる。そして、フジオプロには皆勤賞だ。真知子曰く「家には男がいないからね、ツツイさんが男しか出来ない事みーんなしてくれるの」え?オトコはオレがいるじゃない!と思ったけれど、どうやら人数にいれてもらってないみたい。
「スカパーってナニ?」とオレ。「いいの!ボクちゃんには後で教えてやるから、じゃましないで!」みんなの話を聞いてると、5.6年前にディレクTVとパーフェクトTVチューナーを買ったらしい。しかし手に入れたら登録しないままほったらかして、今に至ったんだけれど、ここ最近アフガン情勢を見たいので、新しく手配したみたい。
70チャンネル増えたんだって!
いろいろ聞いてみたら、今までもツツイさんに無理矢理買わされているわけでなく、ぜーんぶ真知子が頼んでいたってコトがわかった。真知子は宝石なんか欲しがらないからまあいいか。でも隠れて買ってるかもしれないなー……。
我が家自慢のオーディオセット。別名ビクター赤塚ショールームへようこそ。
ツツイサウンド、ツツイさん。頼まれれば水道のモレを直したり、棚をつったり、重いものを運んだり、車の運転やら、ビデオの撮影までなんでもこなすスーバーマン!
「こっちを押して、こっちがこうで、アレ?あっ、違った!コウか?…真知子さ~ん、動かないよ~!」
これがリモコンの山。なにがなんだか、どれがどうやら、全く分かりません。分かりやすいようにってテープを貼ってくれたものの、今だ使いこなすことができず…。
北海道は阿寒湖へ3泊4日取材旅行へ行ってきました。
メンバーはフジオプロのスタッフに加えて、日頃お世話になっている会計士のイイダ先生ご夫妻、弁護士のナカクボ先生、調体師のミズグチ先生とボクの大切な3大先生と前回登場したツツイさんをビデオ撮影班の助っ人とした総勢12人。
ボクと阿寒とのおつき合いは、ボクが初めて仕事でやってきてから30年来ということになるですね~。この場所が気にいって一時は真知子と毎年のように遊びにきていたんだ。こっちに友だちもたっくさんできたし、アイヌの言葉もちっとは分かるし、オレは裏路地の一杯飲み屋まで知り尽くした(?)ちょっとした阿寒湖ツウなのだ。
そして、阿寒湖といえばマリモ…だけれども、ボクはコレにはまるで興味がありません。けれどもひとつの阿寒湖の顔であるアイヌの人たち、こっちの方には大いに関係があるのだ。今回の旅行は、アイヌの彫刻家でオレの親友の床(トコ)ヌブリさんに会うためっていうのも、おおきな目的のひとつなんだ。
床さんとオレは、始めてあった時からお互いにひとめぼれ。といってもヘンな関係じゃないぞ。オトコがオトコに惚れるってヤツだな。お互いの「サイノー」つーんですか?それにまいっちゃったの。アイヌ語で山(ヌブリ)という名前を持つ床さんとオレの共通点は女にモテルってことと、ガンファイターだってこと。ふたりともガンの手術をして胃が普通の人の半分くらいしかないの。
と、説明はこの位にして、到着しました釧路空港。ひぇ~寒い…というのを期待していたんだけれど、全然寒くない。ひんやりした空気がとっても気持ちいい。到着出口についたら「歓迎フジオプロご一行様」っていう紙を持った人が出迎えてくれた。その人に連れていかれてビックリ。なんと真知子ったら50人乗りの観光バスなんかチャーターしていた。も~!やるな~あいつ。これから4日間バスを借り切ったんだって。エライぞ!!
ゴキゲンで約1時間のドライブを楽しんだら、本日お泊まりの「阿寒湖グランドホテル鶴雅」にご到着。
するとアイヌの友人たちが、もうすでにオレを待ち構えていてくれたんだ。「お~!ひさしぶり!」と床さんの顔も見える。入れ代わり立ち代わりたくさんの友人たちが顔を見せてくれる。部屋の窓からは阿寒湖が一望できる。サイコーだ!
さあ、飲もう!なっいいだろ?
どこへいくにもコイツだけは手離せません。もちろん飛行機の中も。オレのファンのみなさんならご存知「ゲーゲー箱」気持ち悪くなったらコイツにゲーっとしてスッキリ、また飲めるって訳。ニャロメのキャラクター付です。
サロンパスの後ろの座席は「走るフジオプロ」。
スタッフに囲まれて手持ち無沙汰だから「ねぇ、水割り早く~」と言ってみた。(そしたら出てきた!)
ふたりの再会をピースで喜ぶ床さん。彫刻家と漫画家は年はとっても気が若いところも共通点です。
これが部屋からの眺めだなんて信じられますか?まるで阿寒湖の上に浮いているようなお部屋。サイコーでした。
夕食でワインのティスティングをするガンファイターズ。オレは良くわかんないからテキトーに相づちを打っていたんだけれど、床さんはソムリエ(っていうんだなコイツ)に真面目に質問なんかしていた。よっぱらっちゃえばなんでも同じなのにさ。
さて、明日はどうなるか?来週も阿寒湖パート2をお楽しみに!
さて、阿寒湖地方は本日も快晴。オレたち一行を歓迎してくれているアカシだな。本日は真知子がチャーターした例のバスに乗り込んで、周辺の探索といきますか。(床さんと奥さんもこのバス旅行に同行してくれた!)
まず向かったのは摩周湖。が、オレたちの摩周湖滞在時間ほんの5分で終了しました。トイレに行って写真をパチリ。こんなモンでOK。さっ!次行きますか。
次は屈斜路湖。ここにはアイヌの友人であるアト゜イさんのアイヌの民俗音楽を独自にアレンジしたオリジナル舞踏+音楽団である「モシリ」の本拠地「丸木舟」がある。
「おー、元気だったか?」あいさつもそこそこに部屋に通されると、そこには手作りのすもも酒に始まり、イモチョケップ、パリモモのお造り、にじ鱒、ピリカ鍋、あめ鱒のオハウ、ポッチェシト、コタン丼、ホワイトラーメン…と豪華な、ほかでは決して食べられないこころのこもった料理が並んでいた。はじめて目にする料理にウチのスタッフは大喜びだ。
真知子がコタン丼がたまらない、この行者ニンニクがいいのよ。と言う。ミズグチ先生があたしこれ気に入ったわ、とピリカ鍋をおかわりする。タマがさっきまで活きていたというパリモモのお刺身を頬張り、ミケがホワイトラーメンを黙ってすする…。
オレたちの給仕をしてくれたのは、このアト゜イさんの娘さんたち。うーん、しばらく見ないうちに随分色っぽくなったなぁ。と思っていると、ひとり消え、ふたり消え、にぎやかに給仕してくれていた女の子たちがいなくなってしまった。なんかへんだな~と思っていたところに、アト゜イさんからお呼びがかかった。1階のシアターで特別公演をしてくれるという。なんて贅沢なことだろう。アト゜イさんは独学で作曲もギターもパーカッションもこなす「モシリ」のリーダーだ。(こういうのを才能っていうんだろうな)さっきまで給仕をしてくれたアト゜イさんの娘さんたちが、踊り手としてモシリのメンバーを構成している。ああそうか、このメイクのために席をはずしたんだな、とやっと納得した。
そしてショーの最後にはウチのスタッフも踊りの輪に加えてもらって大満足だ。
やっぱり友だちっていいな。なんていうあたりまえのことを考えちゃったな~。
ここで、だいぶん予定時間をオーバーしてしまったので、次の予定をキャンセルしてホテルに帰ることになった。あとは温泉につかって、カニを食べるだけ。あ~極楽、極楽。
霧で有名な摩周湖で記念撮影。風が強かったので霧が晴れて摩周湖がハッキリ見えた。初めて訪れた時に摩周湖が見えると男は出世が遅れて、女は晩婚になるんだって。どっちにしてもオレには関係ない話。
ガンファイターズ(床さんとオレ)が行く。強風にあおられて、それでなくても痩せた体が風にとばされそうになった。「はい、お互いに支え会って歩きましょう!」と真知子。さてはコイツ、オレたちがあんまり仲がいいのでヤイてるな?
おう、食べるのはカムイノミ(神への祈り)をやってからだぞ。アイヌの儀式カムイノミを全員で行う。なんとなく厳粛な雰囲気の中で、この昼食が始まった。 (左から「モシリ」のアト゜イさん、床さん、オレ)
会計士のイイダ先生と弁護士のナカクボ先生も見よう見まねでカムイノミに参加。(奥がナカクボ先生、手前がイイダ先生。なぜかふたりはニャロメのセーターが偶然おそろい!!)ナカクボ先生は多忙にもかかわらず、オレと一晩中飲み明かす予定でこの旅行に駆けつけたという大のお酒好き。夜がちょっとコワイな~。
夕食は宴会。ウチのミケちゃんが「フジオプロ流新人研修」をうけているところ。もちろん指導するのは社長の真知子。「ホラ、笑顔でね!」
…こうして阿寒湖ナイトはふけていくのでした。
おまけ
床さんにきいたアイヌのマリモ伝説
むかしクシロコクにトウロという湖がありました。そこにはたくさんのべカンベ(菱の実)たちが住んでいました。やがてべカンベたちは大勢にふえてきました。そこへ仲間のひとりがアカンコという素晴らしい湖があることをウワサで聞いてきました。
「そんなにいいところなら、みんなでアカンコに移り住んでみたいものだ」ということになり、ベカンベたちは天の声に聞いてみることにしました。すると、天の声の答えは無情なものでした。「ダメだ!お前たちがアカンコに住むとアカンコが汚れるし、この静かで美しい湖に人が集まってきてしまうから。」
ベカンベたちは非常に残念だと思いました。あんなに美しい湖があるのに、こんなにボクたちはたくさんに増えたのに住むことができないなんて…。
あきらめきれないベカンベたちは、アカンコに乗り込んでいくことにしました。するとそれを見ていた神様は「言うことをきかないベカンベめ!」と軍隊を送り込みました。戦争です。
ベカンベたちも弓矢で応戦します。ですが、やはり神様の軍隊は大変強く、とうとうベカンベたちの射るための矢は底をついてしまいました。そこでベカンベたちは仕方なく湖の藻をちぎっては投げ、ちぎっては投げました。
それが、ポトンポトンと落ちてアカンコのマリモになりました。
ハロハロ。みなさんご機嫌いかがですか?オレたちの北海道の旅ももう終盤。
きょうは阿寒湖のまわりをブラブラすることに決めた。夕べはちょっとばかり飲み過ぎたし、ゆっくりするつもりだ。
フジオプロの田舎者どもは、モーターボートでマリモを見に行く相談なんかしているけれど、阿寒湖ツウのオレとしては当然パスと決め込んだ。ヤツらマリモをなんだと思ってるんだろうな?マリモってのはただの丸い藻だよ。動かないし、喋らない。あんなの見たって、つーまんないよ~。
と、思いながらオレは朝ごはんにビールでキメる。これは旅の醍醐味のひとつだ。ふだんだったら絶対朝ごはんなんか食べないんだけれど、旅に出るとなんか雰囲気で食べたくなるんだよな。「おっオレに納豆くれ」なんてな。
きょうも床さんが来てくれたから、あとで床さんのアトリエにでも行ってみよう。それからアイヌ部落のおみやげもの屋をのぞいたり…。今回の阿寒湖は大勢だからホテルに泊まったんだけれど、いままでは阿寒湖の宿といえばもっぱら床さんのアトリエと決まっていたんだ。真知子とふたりで良く泊まったな~。ホテルには温泉にだけ入りに来て、またコートを着て走って帰ったっけ。
そうこうしているうちに、もうお昼。みんなと合流して阿寒湖畔「奈辺久」へ。ここの名物はワカサギのカラアゲ。これがウマイ、ウマイ!どんな高級な料理よりもオレはコレが大好き。カラっと揚がっていていくらでも食べられる。山盛りに揚げてくれたカラアゲがあっという間になくなって、は~、食い過ぎた。
腹ごなしに床さんのアトリエに押しかけよう。
丸太小屋づくりのココは、天井も高くていつ行っても薪ストーブがガンガン燃えている。そして、床さんの作品であるアイヌの神さまのふくろうやアイヌのおじいさんや熊の彫刻があちこちに置いてあって、見ているだけでこころがスーと軽くなってくるのがわかる。どうしてなんだろうな?とっても気持ちのいい空間だ。
こんなところに床さんといたら、またお酒がススンじゃうよ~。悪いのはオレじゃないからね、こんなところに連れてきた真知子がいけないの。
ねー!もう明日帰るっていうのにこんなことばっかりしているから、オレまだ温泉に1回も入ってないよ~!どうすんのよ!!
ボクたちフジオちゃんのペット、カン&カンカン兄弟。(知らない人は10月13日の日記を見てね)もちろんボクたちも阿寒湖に同行したんだ。冬の北海道の美味しいものをご紹介します。解禁直後のボジョレーヌーボーとローストビーフに初挑戦しました。なかなかイケます。
タラバガニに特製おミソを塗って焼いたミソガニ。グルメなボクたちもこのカニにはビックリ。ボクたちがいると、このカニがどんなにデッカイかわかるでしょ?
な・なんとクマの肉だって!こんなもんを犬のボクたちが食べちゃっていいのかちら。クマさんごめんなちゃい。
これはフツーのタラバガニ。「うわ~お兄ちゃん、ボク挟まれてるよ!!」「弟よ、心配するな。オレもだ!」
「カンバレ!フジオ!!」「いっぱい!食べろ!!」「フジオったら、こうして見ててやらないと酒ばっかり飲んで全然食べないんだよな~」「お兄ちゃん、でもきょうは珍しく食べてるみたい…」「どうやら、コイツが好物のワカサギだな。こうなるとオレたちには回ってこないぞ」「え~?!」