TOP > 赤塚不二夫 > 日記 2000~2002

 あけましたのだ!おめでとうなのだ。
 オレがデビューしてから今年で45年。今年の年賀状はこんな風に作ってみた。どうアタシ、キレイかしら?
 オレのデビュー作「嵐をこえて」っていうマンガのタイトルは、今考えるとなんだかオレの人生を暗示しているような気がしないでもないが…。
 ハナもアラシも踏み越えて、まだまだオレは生きるのだ!!!
 今年もよろしく頼むのだ!!

 改めまして、あけましておめでとう。今年もよろしくしく36なのだ。
 というオレは、正月早々大好きな熱海に来ているんだ。ホントウは年末からこっちに来てゆっくりと年越しをする予定だったんだけれど、例によってクリスマスから飲み続けたせいで吐き気が止まらない、通称「ゲーゲー病」になっちゃったんだ。この「病気」を治すためには、ただひたすら吐いて、嵐がすぎるのを待つだけ。それ以外の治療法はナシ。ってことで、年末は地味に過ごして新世紀を迎えたってわけだ。
 熱海でゆっくりって思ったんだけれど、友だちがどんどん訪ねてきてくれて賑やかなお正月になったんだ。来てくれる人はだいたいが飲んべえだから、飲んで、おしゃべりして、ギャグを言って、温泉に入って、寝て、そして目がさめたらまた飲むんだな。誰かが来たら、誰かが帰って、そうしてまた誰かがやって来て…ウチはいつも「来るもの拒まず」だからな。ここから仕事初めの出勤をしたヤツもいれば、仕事帰りに立ち寄ったヤツもいるし…。
 さあて、今夜は誰といっしょに飲めるのかな?

 さあて、家の中ばかりにいてお尻が痛くなってきたので、今日は恒例の初島行きとなった。
 いつもの「イルドバカンス号」に乗っていつもの店へ一直線。ところがこのイルドバカンスがちょっとばかり揺れまして、たった25分ばかりの船旅なのにすっかり元気を無くしちゃったんだな。特に真知子はヒドくって、なーんにも食べられなくなっちゃった。これじゃ来た意味ないよーっと思っていたら、いましたボクの恋猫、菊千代のそっくり猫ちゃん。こいつに会えればまあいいか。おい、今年もよろしくな。と挨拶をして早々に初島を後にしたんだ。
 ボクの短いお正月休みもあと2日。今日はもう東京に帰らなくっちゃいけないんだ。
 熱海最後の夜にはレストランに行って、もう一回温泉に入って、ゆっくり帰ろう…っと思っていたら、夕方雪が降ってきた!!えー、このあったかい熱海に雪?!っと驚いているうちにどんどん降ってくる。これはマズイぞ!早く帰ろう!!ってことになって皆でいっせいに片付けて、まるで悪者が警察に追われているみたいな素早さでプロローンと車を出したんだ。運転は真知子。途中で雪がすごく降り出して心配したんだけれど、なんとか無事に帰宅。東京も初雪だな。
 それにしても、一週間留守にしていた家は、ものすごく寒い。ふつうだったらこんなに家を空けることはないから、家自体が冷えきっちゃているんだな。
 さあ、身体をあっためるためにも、一杯飲まなくちゃ。ねっ。

 きょうのお仕事も全部終わって、ぼーっとしていたら、ふと映画が見たくなった。
 オレの映画フリークぶりは、いろいろな所で言っているからご存知の方も多いと思うんだけれど、コレクションは全部で3.000本以上。8ミリビデオに始まって、ペータにVHS、VHD、レーザーティスク、そして今はDVD。溜まりに溜まって整理するのも大変だけれど、アイウエオ順に棚にズラーっと並べてあるのを見ると、ワレながら壮観だ。
 オレのお気に入りは、誰が何と言おうと、青春時代に見たハリウッド映画。
 最近の映画も誘われれば見るけれど、どーってことないね。
 かの有名な「タイ○ニック」なんて途中で眠くて眠くて困っちゃったよ。…ああいうのは好みじゃあない。ちょっと前に試写で見た「スター○ォーズ エピソード1」だって、インタビューで「くだらねぇ…」なんて言っちゃったしな。…ああいうのも好きじゃあない。
 そうだな、きょうは「情婦」にしよう。これはボクのお薦めの作品の一本だ。かのビリー・ワイルダー監督の名作で、サスガにセリフも気が効いてるんだよな。
 それから、怪優チャールズ・ロートン演ずるところの弁護士が持っている仕込み杖(柄の部分にお酒を隠すことができるスグレモノ)と同じステッキを、以前マンガ仲間の高井の研ちゃんにもらったんだ。実はもらったというより、欲しくて欲しくて無理矢理ぶんどったんだけどな。さすがのボクも後になってから悪いなーと思って返したけれど…。やっぱり返さなければ良かったかな。なんだか惜しくなってきたな。
 どこか売っているところを知っている人は、是非教えて下さい…。
 さて、それはいいとして、ひとりで見ても面白くないから、真知子とうちの事務兼秘書のヨリコちゃん、さっきまで打ち合わせをしていた何人かも誘って、大勢で映写会だ。
 ここでまたまた、自慢をひとつ。ウチには壁一面のスクリーンと映写機があるのですねー。
 さあ、電気を消したらフジオミニシアターへようこそ。

 こんちは!
 きょうもオレはゴキゲンだけれど、みなさんはどうですか?
 世間一般は、とっても寒いらしいけれども、オレはさっぱり外には出ないので、そんなことは知らないのだ。やってくるお客さんがみんな「うー、サムサム…」と言いながら入って来るので、こいつらがタバになってオレを騙していない限りたぶん寒いんだろう。
 きょうは、この寒い中お仕事や勉強に頑張ってるらしいキミたちに、ちょっといいものを見せてやろう。
 ホラ! 「足でタバコを吸う男」
 オレは当年取って65歳、この身体のやわらかさには、病院のセンセイ方もビックリ。オレは昔っから身体だけは柔らかいの。あっ頭も柔らかいか…。
 そばにいた30代の編集者に「やってみ」と言ってやらせてみたけれど、後ろにコロリンとひっくり返っちゃって、とってもムリ。
 どうだキミにはできるかな?もしできたら編集部あてに画像を送ってくれ。
 わはははは…と笑ってヤルからな。
 スパスパスパ…うーむ、こうして吸うとタバコもまたひと味違うのだ。

 毎年恒例の新年会のお流れでフジオプロに集まったのだ。…と言っても、これはウチの新年会ではないのだ。以前ウチのスタッフだった北見ちゃん(北見けんいちさん/「釣バカ」でご存知ですよね。)の新年会なのだ。北見ちゃんは毎年毎年飽きもせず、何故だかウチのすぐソバの旅館「山楽」で百人単位の人が集まる新年会をやっているんだ。
 ボクはここ数年ちょっと体調の都合で(笑)パスしていたんだけれど、それでも毎年二次会と称して流れてくる人が沢山いるんですよ。なんせ会場が歩いてスグのところだから。
 この前なんか、二次会だっていうのに40人くらい人が来ちゃって、机をズラリーっと囲んで呑んだですねー。でもね、なんだか良くわかんないんだよ。気がつくとオレの隣に知らない人が座って酒呑んでいるんだよ。これには参ったよ。話し、合わないよー。こう見えてもボクは人見知りするんですから…。後から北見ちゃんに「知らない人、よこすなよー。」って言っておいたんだけどさ。
 きょう、おかしかったのは、ちばちゃん(ちばてつやさん)と小学館の武居さん。(武居さん/小学館の名物編集者。赤塚漫画に実名・似顔絵登場していた)このふたりは、北見ちゃんの新年会をすっ飛ばして、まっすぐにボクのウチへ直行してきたんだな。これじゃあ、ホントになんだかわかんないよ…。
 でもボクは、わからないながらも、とにかく人が集まってくれることは分かっていたから、なんだかんだ言いながら、朝から落ち着かない。お酒の用意やツマミの手配が気になったりしてキッチンをウロウロしていたら、真知子にからかわれちゃった。
 くっだらない話しをしながら、酒を呑む。昔からの仲間っていうのは遠慮せずにそれができるから貴重だよなー。
 きょうは、それでも比較的早くて、みんな2時ごろに引き上げていった。最後まで残ったのは、いつもの通りあだっちゃん(あだち勉さん/あだち充さんのお兄さんで元フジオプロのスタッフ)だな。そう言えば、きょうは、このあだっちゃんの3年来の恋がやっと実って結婚宣言が飛び出したりして…。あわただしくも目出たい、年の始めだったとさ。チャン!チャン!

 ご近所のワンちゃん、デビィ。TVに出ている恐いおばちゃんじゃないぞ。散歩中に迷いこんできたのを、うちのスタッフの進藤さんが見つけて仲良しになったんだ。
 ボクは、きょうが初体面だったんだけれど、とっても大人しくって利口な犬なんだなー。なんでも盲導犬とかになる種類らしいぞ。いっぺんで仲良しになっちゃったよ。
 「おい、一緒に呑もうぜ」なんて言っちゃってさ。
 ボクはホントウは犬よりも猫派。(フォト武勇伝をご覧いただければ一目瞭然です。)いまは亡き菊千代よ、浮気を許せと思いながらも、頭をナデナデ。
 デビィもここを気に入ったみたいで、ウットリしてるぞ。
 ボクは何故だか、子どもや動物なんかとすぐに仲良くなれるんですねー。理由はわからないけれども、警戒心ってモンがないからかなー?それとも動物に近いからか?昔はゴリラに似てるって言われていたけれど、いろいろあって(笑)痩せちゃったもんだから、今はもうゴリラじゃないな。
 おっと、そういえばワンちゃんの名前は聞いたんだけれど、飼い主のお兄ちゃんの名前は聞きそびれてしまった。
 あんた誰だっけ?うん、そう、近所の人だよな。まぁいいか、お兄ちゃん、また来てくれよ。デビィひとりでもいいけどさ。

 ようこそ「バカデー毎日」編集部へ。
 ご存知の方も多いと思いますが「サンデー毎日」誌上でボクが編集長をしている「面白ければナンデモアリ」というハチャメチャページがあるんだ。
 きょうは、その企画で「フランス料理を食べる」ってのをウチで取材することになった。「うらやましいなー、いいもん喰ってるなー」だって?そう思ったらどーぞ参加してみなさいよ。フランス料理って言っても、そんじょそこらのフランス料理じゃないぞ、「フランス料理鍋」。えっ?鍋?とお思いでしょう?それは、前菜からデザートまでをすべてひとつの鍋にぶっこんで、食べたらどんな味だろう。っていう前衛的かつ恐怖の企画なのだ。どうだい、それでもうらやましいか!?ザマミロ、コノヤロウ!
 お鍋の中身は、前菜に生ガキ、それからポタージュスープ、エスカルゴ、メインは子牛のフィレステーキ、もちろんサラダも、さらにデザートのチーズとストロベリーミルフィーユも入れまして、味付けはおフランスワインザンス。これをドボドボドボ…っと入れて、強火でしばらく煮込みます。
 テーブルにはナイフ、フォークのセットと高級フランスワイン。ワインを飲みながら優雅に会話を楽しみつつ待つこと15分。
 そろりと鍋の蓋をあけると、あたりに漂うただならぬ臭気「うっ、ク・クサイ」。これは、外にもれたら警察に通報されるぞっ、異臭騒ぎだぞ。それにこの色はなんなんだ。
 しかし、ここでひるんでは男がすたる。少なくともオレは「編集長」だしな。「おい、誰か先に喰えよ」編集長はエライのだ。だからお毒見役が食べてからでないとマズイのだ。「うまいモンばっかりを入れたんだから、マズイ訳ないだろ?うまそうじゃないか。」オレはワインをグビグヒあおる。
 「よっしゃ!」のかけ声とともに、意を決したようにひとりの編集部員が口をつける。さらに、もうひとり……。ふと、その編集部員を見ると、ウムムム…顔色がおかしいぞ。「おい、大丈夫か???」
 …このあとどうなったか、2月15日発売の「サンデー毎日」をじっくりご覧くださいませ。