TOP > 赤塚不二夫 > 日記 2000~2002

 全国のフジオファンの皆様、お待たせなのだ。今日ボクはめでたく(やっと!)退院になりました。
 2ヶ月あまりの入院ですっかり元気になったのだ。励ましの手紙やメールをくれたみんな!どうもありがとう。心配をしてくれたみんな!ごめんなさい。
 それから、ボクのかわいい看護婦ちゃんたち!いろいろありがとう!ボクがいなくて寂しいだろうが頑張ってくれ!それからそれから、ボクのたくさんのお医者さんたち!さよなら、また、会おう!(なんてな。)
さあ、仕事をするぞっ!
 さっそく、仲間が焼肉で退院祝いをしてくれたんだ。あー、ひさしぶりのシャバの空気、それから焼肉、夢にまで見たトン足…。ん?でも、良く考えると退院祝いっていうのは、皆がボクにごちそうしてくれるんじゃないのか?なんだかアベコベにぜ~んぶボクが払ったぞ!ムムム…?
けれどもウマければ、これでいいのだ!!!
リハビリの成果で、ここまで描けるようになりました。

 退院3日目で、もうかなりデキ上がってしまったのだ。これではダメだ、と思いながらもついついおチャケが進んでしまう…反省反省…なのだ。退院祝いってことで次々と友だちが来るしなぁ。
 ってコトで、しばらく熱海に避難なのだ。ひさしぶりに新幹線に乗って(東京駅の階段をイッキに上がる。く・くるしい…)ボクの隠れ家、熱海へ一直線なのだ!
 気分を変えて次回作の構想を練ったり、リハビリの体操やお散歩、もちろん病院食に慣れ切ったこの舌を回復させるためにウマイモンもいっぱい食べなくちゃいけないし…。
 あっ、そういえば、きのうお寿司を食べたんだけれども、すっかり刺激に弱くなってワサビが口の中でヒリヒリして全然美味しくなかった。ワサビが食べられなくなるなんて、このオレともあろうモノが情けない。これじゃ、ボクがいつもバカにしている友だちのひとりで「科学バカ」の“ユミ小僧”といっしょになっちゃうよー。
 だから(?)今晩はボクの熱海のお気に入り、鉄板焼をたらふく食べるのだー。

 本日快晴!さあ、どこへ行こうか!?と相談して“相模湾の真珠”初島に決定!
 退院祝いバート3として友だちが来てくれたので、フジオご一行は総勢7人となった。熱海港から定期船(イル・ド・バカンス3世号!それにしてもこのネーミングは!!)でたったの25分。初島は釣りをする人なんかは多いけれども、な~にもないホントに素朴な小さな島なんだ。ここでボクが何をするかっていうと、昼ごはんを食べるんですねー。ところがその“イル・ド・バカンス”が大揺れに揺れたんだなー。酒にはめっぽう強いこのボクも、これには参った!
 フラフラになって降りると、すぐ目の前がボクの大好きなお魚の店アワビと伊勢海老のお刺身をどっさり、伊勢海老の味噌汁、サザエ、地の魚のお刺身盛り合わせなんかと、薄ーい水割りをちょびっと。真知子は熱燗でゴキゲン。帰りにまたあの大揺れ“イル・ド・バカンス”に乗ることを考えると気が重いけれども、しばし忘れて舌鼓を打つ。ポンポコポン!
 このお店の刺身はバツグンなんだけれども、ボクがココを気に入っている理由がもうひとつあるんだ。それは、今は亡きボクの愛猫“菊千代”の若い頃にソックリの猫ちゃんがいるから。この猫ちゃんはおりこうさんで、決して店には入ってこないんだけれども、店の前にちょこんと招き猫みたいに座って日向ぼっこしているんだな。かーわいいぞぅ。
 さて、みんな満腹になったかな?菊千代にご挨拶したらもう帰りの時間。帰りはあんまり揺れずに、無事熱海にご帰還。あー、これでいいのだ!

お魚の店

猫ちゃん

 入院中に全部治療が終わらなかった歯の治療。それが今のボクの最大のシゴトだな。きょうもかかり付けのヤマザキ歯科まで、行きは車で送ってもらって、帰りはブラブラ散歩しながら帰ってきたんだ。ボクはホントウは散歩なんてバカバカしくって大キライ。でも真知子がリハビリの為に歩け歩けってうるさいから、仕方なく歩いているんだ。やっと無罪放免で釈放(退院)になったっていうのに、看護婦ちゃんより厳しい真知子…あーあ。  散歩ついでに駿河屋さんに寄って、夕飯の買い物にもちょこっと付き合う。こまごましたモノには一切興味がないので、食材売り場に一直線。あっそうだ!今日はカキ鍋にしてもらおう。太ったカキを大量に買い込んで、後のコトは知らないのだ。これをツマミにおチャケを飲めるとサイコーなんだけど、帰ったら真知子のゴキゲンを見ておねだりしてみよう。  おっ、そうだ!そのためにもシゴトをしなくちゃね。ってコトで帰ったら早速一階の仕事場で机に向かってこの通り。ママとはじめちゃんの色紙の下描きをしたのだ。ボクの絵は誰にでも描ける単純な絵なんだけれども、それだけにちょっとしたコツでかわいく見えるんだなー。このコツはちょっと教えられないな。  それにしても、今晩は首尾よくおチャケにありつけるのかなー?

 今日はボクがよく見る夢の話しをしようか。
 いっつも見る夢は恐い夢ばっかりなんだ。なんだか分からない恐いものに追っかけられている夢、水に溺れている夢、大人に怒られている夢…ほんとにね、何故だか今まで幸せな夢なんて見たことない…。
 小さいときからよーく見るのは、大人が追っかけてくる夢。夢ってなんなんだろうなー。夢の中で、ボクは少年に戻っちゃって、ホントに怖がっているんだ。自分ながらも可哀想になっちゃうよ。
 ボクはヒマな時、よくひとりで空想しているんだけれど、そんな時はたいがい小学校6年生くらいの時のことを考えているんだ。ようやく戦争が終わってメチャクチャな時代…しかもボクは関西の大和郡山ってところにいたんだよー。強烈な体験。そんなことを思い出していると、眠った後も頭のどっかに残っているんだろうな。夢になって出てくるんだよ。
 あとは、3.000メートルから落ちる夢。これは何故だか3.000メートルっていつも決まっているんだな。断崖絶壁の崖っプチにボクが立っていて、下は海。よーく見るとほんの小さなボートが見えて人が乗っているのが分かるんだ。そこをめがけて落ちていくんだけど、すんでのところでボートをかすめて海にドボーンと落ちちゃう。そこでパッと目がさめて「あれ?この夢、また見たゾ。」
 …誰か夢診断なんてことできる人、ボクのこの恐い夢ってどんな意味なのか教えてくれよ。

 やったぞう!
 オレがこんな顔をするのは、そう!おチャケを入手したときなのだ。実は退院してからお酒の量を調節するために、このミニボトルにウイスキーを移して飲んでいるのだ。約束は一日これを5本。たーりないよー。ちょびちょび飲むんだったら死んだほうがマシなのだ。ドンドン飲まないとダーメなのだ。…なんて言ってたら、真知子にぶっとばされるのだ。
 お客さんが来たり、新しい連載のアイデア会議をやったり、(もうしばらくしたら発表するぞ。お楽しみに!)取材を受けたりして、乗ってくるとコレがないとダメなのだ。と、いうわけで、泣き落とし、かわいい顔、猫撫で声、ほめ殺し、逆切れ…などなど、考えられるありとあらゆる手段を使って、とうとうミニボトル2本をゲット。これさえあれば大丈夫なのだ。(なんだかよく、わからないが…)
 さあ、飲むぞっ!!

 きょうは、フジオプロにも赤塚家にも来客の予定ナシ。こんな日は、一年のうちで7日間くらいしかない(?)とっても珍しいことなんだ。そして真知子が風邪気味で元気がないので、家の中がシーンとしているような気がするし、ボクも風邪っぽいかんじがするので、こんな日はおとなしくしているに限るな。
 ということで、全国を巡回しているボクの展覧会「これでいいのだ!赤塚不二夫展」のために色紙を描いてみることにした。オールキャスト勢ぞろいの豪華な色紙だぞう。どうだい?もう売り物にしても大丈夫でしょう?みなさんの評価はどうですか。
 そして、賢い読者のみなさんはお気付きのことでしょうが、ボクは長そでの着物が大嫌い。真冬でもごらんの通り半そでTシャツなのだ。(この写真も。夏に撮ったものではないのだ)真知子はいつも体のことを心配して、長そでを着せようとするんだけど、すぐ脱いじゃう。だから当然、家の中ではいつも暖房をガンガンに効かせているのだ。
 たまに家にやってくる編集者や取材のヤツラが、みんな揃いも揃って汗ダクになるのは、ボクに逢ったキンチョーやウレシサ(?)からではないのだ。つまらん!

色紙だぞう。

 きょうは、ボクの肌身はなさず持っている大事な大事な、通称「ゲーゲー箱」を紹介しよう。いままで病院でもさんざん使っていたゲーゲー箱1号がちょっと古くなって来たので、2号を購入しました。ジャーン!!本邦初公開なのだ。  ゲーゲー箱っていうのは読んで字のごとし。ボクは食道ガンの手術以来、健康な人の1/4くらいの大きさの胃になってしまった。それなのに、大酒は飲むし、お菓子は食べるわ、カニやフグ、ウドンや焼肉なんかも大好きで、ついつい食べ過ぎちゃうんだな。それに加えていつも酔っぱらい。だからコイツが手放せない。どこに出かけるときも、いや家にいる時でさえも「オレの側にはゲーゲー箱アリ」って訳だ。お出かけの時にはサイフは持たないけれども、コイツだけは忘れたことがない。(BOXティッシュとセットです)  それにぼくは、吐くのが天才的に上手いんだ。そうだなプロだな。飲んでいても、横にいる人も気が付かないほど素早く、しかも音も立てずにゲーゲー箱を使うんだ。これは自慢できるぞー。(そんなコト自慢すんな!と真知子はご立腹だけど、これでいいのだ!)

 またまた熱海にやってきました。ボクの熱海のガールフレンド、美人の(齋藤慶子似!)のクミちゃんとツーショット。実はクミちゃんは、ちょっと前にフジオプロで働いてもらっていた女の子なんだ。だからボクのコトもよーく知っていて、ボクはすぐに「ゴロニャーン」と甘えてしまうのだ。
 でも、せっかく熱海に来たっていうのに、そしてこんなに天気がイイっていうのに、真知子がまだ風邪ぎみなので、どっかに遊びにいくことも出来ないんだ。港をお散歩してから、熱海の家でゴロゴロと過ごす。真知子はいつもボク以上に忙しくって、立ったままごはんを食べているようなカンジ。だからたまにはこんな風に、のんびり温泉に入って、ゆっくりお酒を飲むのも悪くないね。と、ボクったらイイ夫(オット)みたい。(一番手がかかるのがオメエだよ、って言われそう…)
 ボクはといえば、どこにいてもおチャケがあれば、ゴキゲンなのだ。読者のみなさん、呆れないでボクのコトを暖かく見守ってくだちゃいね。これでいいのだ!