TOP > 赤塚不二夫 > 日記 2000~2002
2002年 3月 3日(日)
ひなまつりに考えたこと

 フジオプロには5人のオンナがいる。
真知子を筆頭に…まぁコイツは置いといて、まずは進藤さん。この人はオレのめんどうをぜーんぶ見てくれる乳母(!)のような人。次にヨリコちゃん。こいつは階段をトントントーンと駆け上がってくるからすぐ分かる。アダ名はタマ。最近来たばかりのリエちゃんは、なかなかの美人!アダ名はミケ。それにパートのヨシコさん。こうして見ると三人官女ならぬ五人囃子だ。いつでもピーチクパーチクとおしゃべりが五月蝿いし、全員よく喰うこと。でも考えてみればそんな中で、話を聞くでもなくあいまいなあいづちを打ちながらお酒を飲んでいるのが、オレはなかなか気にいっているんだ。
 1月のある日のこと。先輩格のタマが、ミケと一緒にニコニコの笑顔でオレのトコロにやってきた。「ン?なんだ?」というと、ふたりが「ジャーン!!」と差し出したのはオレの貸し本時代の作品「湖上の閃光」じゃないか!えー、なんでキミたちが持ってるの?ねー、なんでー?。それにしても懐かしい。この「湖上の閃光」ってのは、もう40年以上も前に書いたサスペンス調の少女漫画。なぜかオレの手元には本が残っていなくて、もう忘れかけていた作品だったんだよ。まだおそ松もバカボンもこの世に存在しなかった頃のこと。…そうそう!これって石森も一緒にアイデアを考えてくれたんだよな~。絵なんかさ、尊敬していた手塚先生のタッチを必死に真似して書いてるよ。…と一気にいろいな事が思い出されたけれども、「ところで、コレどこから持ってきたの?」と改めて聞くと、驚いたことに、今はこういうものを売っているオークションってのがあるんだって。
 ある人が、この「湖上の閃光」がオークションに出品されるっていう情報を仕入れて、フジオプロに教えてくれたらしい。そこでこのふたりが「ナニがナンでも入手せよ!」という真知子の指令を受けてオークション会場に出かけていった。フジオプ ロからの軍資金は40万円!!出かけたところは中野サンプラザ「まんだらけ大オークション大会」。報告によると、会場は漫画好きが発する静かな熱気でムンムンしていたという。長テーブルにずらりと並んだ本日の出品作品の中には、かの手塚先生のレア本、入札価格1,500,000円からなんていうツワモノもあったらしいが、お目当てのオレの本「湖上の閃光」はひときわ眩しく閃光を放っていたという。ドキドキしなが ら入札を終えると、結果は入試の合格発表のように2階の会場に貼り出される…。
 こうしてこの本は、並いる競合をけちらして無事競り落とし、オレの手元に届いたって訳だ。ふたりとも任務遂行ゴクロウであった。
 ところで、誰もが気になる落札価格は、290,000円也!!我ながらビックリ仰天の値段だけれど安くても悲しいから、これが買えるシヤワセを噛み締めることにしよう !
 本日のシメは、フジオプロの五人囃子ちゃんたち今後もヨロシクなってことで… 。

会場はこのように宝の山状態。この日は10,000点近くの作品が出品されていたんだって。マニアってスゴイな。

これが落札者発表の様子。ホントに入試みたい。

紆余曲折を経てオレの手元にやってきたこの本。感慨深いものがあるな。

「ホラ、このページ見てよ。お城がロケットになって飛んでいくっていうアイデア、これいいでしょ?」ふたりを相手に話が弾む。

あいつら調子にのってこんなモンまで落札してきた。ビニールのパスケース1,000円だって。