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2001年 10月 15日(月)
天才も筆のあやまり

  「おそ松くん」って知ってるか?改めて若い読者のためにご説明いたしますと、昭和37年に「週刊少年サンデー」で連載をスタートし、「シェーッ!」という大流行語を誕生させたギャグ漫画最大のケッ作なのだ。(もしもあの頃「流行語大賞」があったら、この「シェーッ!」は、大賞マチガイなし。「おっはー」なんかに負けないゾ。)…いきなりマジメに解説してみたけれど、このたび昭和41年に毎日放送で制作されたTVアニメ版「おそ松くん」がDVDになるんだって。
 そのため今日は、DVDにオレのインタビューを収録するためにカメラがやってきた。おう!インタビューならまかしとけってことで、この日も絶好調でインタビューに答えたね。オレ、こう見えても取材は慣れてるからさ。そして、トントンとインタビューが進んで、最後にスタッフからリクエストがあった。「先生、最後に『おそ松くんがDVDになるのでよろしく』って言っていただけますか?」「はいよ!」とオレ。「おそ松くんブイデーブイをよろしくお願いします!」カメラ目線もバッチリ決まった!…と思ったのに、スタッフは全員で笑いころげている。「なんでー!?」「先生ディブイディーですよ。」「だって、デーナントカなんてオレ知らないモン…。なんなんだよ。…んじゃもう一回…おそ松くんのデービーデーをよろしく!!」え?まだ違うの?もういいの!これで。
 こうして、インタビューは無事(?)終了したが、今度は「先生、おそ松くんの登場人物を色紙に描いていただけませんか?これも収録したいので」とおっしゃる。「色紙ね、OK!サラサラっとイッパツで描くからね。」とマジックを走らせていると、何故か全員がオレの手元に注目したまま、重~い空気。するとスタッフの一人が意を決したように、「先生、これは…バカボンのパパじゃありませんか?」「は?」いや、ここからが天才の腕の見せ所なんです。結果は写真でご確認ください。
こうして今日も、オレの仕事はつつがなく終了したのであった。チャンチャン!

マイクセッティング中。ヤル気マンマンのオレ。

「それはねっ、キャラクターに対する愛情ですよ!」インタビューに答えるオレ。

「ええと、パパのハチマキにイヤミをくっつけて…っと」カクサクするオレ。

天才の作品。失敗をものともせずに仕上げるプロ根性。これでいいのだ!

おまけ。
フジオプロ所蔵のお宝「ソノシートまんが」3枚を特別にお見せしましょう。昭和40年にナント280円で販売していた、今となっては超レアな逸品です。

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