仲間たちがどんどん連載を持つようになって、なんだかひとり取り残されたようになったボク。けれども不思議と妬んだりしなかったんですねー。ただそりゃあ、やっぱり焦ったな。ぼくは、不本意ながら少女漫画(「嵐をこえて」「白いえぷろん」など)を描いたり、石ノ森の手伝いなんかをしていたんですね。彼は連載を何本も持っていて、ボクよりも年下なんだけれども、大忙しだったからね。
そんな時、石ノ森のところに来ていた編集者が「原稿に穴が空いたので助けてくれ」って駆け込んで来たんだ。「誰かユーモア漫画描けるヤツいないか」ってね。そしたら、石ノ森が「赤塚がいる!」といってくれたんだ。ふだんから石ノ森にはアイデアを話したり、作品を見せたりしていたからね。それから急きょ1本まとめたよー。もちろん徹夜でね。
それがこの「ナマちゃん」。タイトルも石ノ森が一緒に考えてくれた。あー、懐かしいなー。ボクはホントウに田舎者だったから、アソコ(トキワ荘)に入らなかったら、絶対に漫画家にはなれなかっただろう。あの頃、まわりにいた誰が欠けても今のボクはあり得なかったと思うよ。ボクは、つくづく人に恵まれているんだよ。
そして、この「ナマちゃん」は1本きりの代役のハズだったんだけれども、出来上がってきた本を見たらビックリ。トビラに「新連載」ってハッキリ書かれていたんだ。デキが良かったので即、連載が決まったって訳だ。
これがボクのデビュー秘話。 |