昔の写真だい!

「はじまりは満州」 BACK   NEXT
 ぼく、赤塚不二夫は、みなさんご存知のとおり、ギャグの天才で、紫綬褒章受賞の漫画家で、ガンを克服した根性の人で、もちろん立派なアル中で、家には愛するツマをひとり持っているのだけれども、このぼくにも「おんぎゃー」と生まれたかわいい赤ん坊だった時代があるのだ。当たり前だけど、なんだか不思議なのだ。不思議だけど、当然なのだ。漫画家としておんぎゃーと生まれるまでの「藤雄」(本名)時代のオレの話をするんだよな。うん、そうだよな。
 っていうんだけど、えっと、何からいえばいいかな。(ここでグビリと水割りをひとくち)。 産地はね、満州(現在の中国熱河省)なの。なぜかさー、漫画家は満州出身が多いんだよな。あしたのジョーのちばてつやさんだろ、ぼくのアシスタントだった古谷三敏なんかもそう。まあそれはいいんだけど。
 とうちゃんは憲兵だったのだ。とっても恐かったのだ。何から何まできちーんとしてないと、気持ちが悪いって人だったの。もちろん漫画なんて、読んだこともないし、おれにも読ませてくれなかった。まあ、おれは隠れて読んでいたんだけれど。それからかあちゃん。この人はエライのだ。かあちゃん無くしてはおれは「赤塚不二夫」にはなれなかったのだ。それくらい、エライ。「かあちゃん」と聞くと、ぼくは今でも胸がキューンとするのだ。これは正真正銘のマザコンだ。そのとうちゃんとかあちゃんといっしょにすまして写っているのが藤雄、このぼくなのだ。どうだ利口そうだろ?そう、利口だったのだ。そして近所の奥さん達のアイドルだった。年をとってアルコールでグシャグシャになちゃった今の顔からは想像もつかないかもしらんけれども、ホントウにかわいい子どもだったのだ。事実だからしょうがないのだ。
「はじまりは満州」
「三輪車に乗るぼく」
「大和郡山から新潟へ」
「漫画家になるぞっ」
「トキワ荘の青春」
「ぼくとかあちゃん」
「とうとう連載デビュー」